一人ひとりのキャリアに寄り添ったキャリア開発

クリニカルラダーに基づいたキャリア開発

▼INDEX
1.クリニカルラダーについて
 2.現場での実践につながる学習
 3.一人ひとりに寄り添ったキャリア開発

クリニカルラダーを導入

－個々ペースで、着実にステップアップ

大牟田天領病院では、看護師2年目以降の教育体制として「クリニカルラダー」を導入しています。（下記図を参照）
クリニカルラダーの導入には、
「自分のレベルに合った研修を自己選択できる」
「自分のペースで受講を計画できる」
「公正な能力評価ができる」
などのメリットがあります。

新卒で入職した看護師については、経年別研修（集合教育）を同期と一緒に受けていただきます。それぞれに課題があり、その課題を持って研修会に参加します。久しぶりに同期同士が顔を合わせて話をしてもらうというのも目的としています。
3年目研修では、1人の患者さんを通して課題に取り組み症例発表をします。関連部署の師長たちにも参加してもらって評価をしていただきます。それを経て、リーダー業務など次のステップに進みます。

クリニカルラダーは、自分で受けたいという意欲でもって、年間を通して計画を立てて受けてもらっています。そしてステップアップには審査会があり、そこでの評価を受けて次のステップに上がれるかどうかを決定しています。頑張った人をきちんと評価するステップだと思います。

大牟田天領病院　クリニカルラダー図

現場での実践につながる研修

－講師陣は院内の認定看護師などが担当

講師はすべて院内の方にお願いしています。当院には現在、4分野の認定看護師と1名の特定行為研修修了者が在籍しています。各領域のプロフェッショナルがより現場で活かせる内容に工夫をして指導にあたってくれています。

在籍中の認定看護師：集中ケア、救急看護、皮膚・排泄ケア、感染管理（2022年4月現在）

コロナ禍でなかなか研修会等に行けない時期が続いている中、当院の各領域の認定看護師が協力して10～15分の勉強会動画を作りました。院内のスタッフの力だけで、こうした学習の機会を作り出せることは、大牟田天領病院の強みではないかなと感じています。

外部の研修で学んだことが、現場でしっかりと実践ができるかと言うと、必ずしもそうではないことがあります。認定看護師は修了過程で教育学を学んでおり、実際の現場における看護実践に沿った研修内容を組み立てることができます。当院の認知症コーディネーターが主体となって実施している勉強会等も、高齢化率が平均よりも高いこの大牟田地域だからこその内容だと思います。高齢者が多く、認知症の患者さんも多い当院で働く看護師や介護福祉士にとって、認知症の方の思いや接し方といった専門知識を学ぶことができています。

一人ひとりに寄り添ったキャリア開発

― 個々のキャリアプランに合った経験を

勉強したい人をできるだけ支援したいと考えています。
クリニカルラダーのステップを上がっていく中で、「こういった勉強をもっとしたい」「認定看護師を目指したい」といったキャリアプランを持つスタッフが、少しずつですが増えてきていると実感しています。そして、私達はそういった次世代の人たちには、院内で色々な経験をさせたいと考えています。

クリニカルラダーは、その人のやりたいことをその人のペースで勉強できるという側面があります。「今は家庭や子育てを優先したい」という方もおられますので、その人に合ったペースで学習に取り組んでいただければと考えています。
私たちの方からは「この勉強だけは受けてみない？」「ある程度育児が落ち着いてきたら、次のステップとしてこういう勉強をしてみるのはどう？」と一人ひとりの状況を見ながらお話するようにしています。半年に1度目標面談をしていますので、一人ひとりのライフステージに合ったキャリアプラン、ステップアップを一緒に考えています。

大牟田天領病院の規模だからこそ、やりっぱなしの教育・研修ではなく、スタッフ一人ひとりの気持ちを聞ける。「師長とスタッフの距離が近い」と評価いただけるポイントだと感じます。