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看護助手から看護師へ。私が今、循環器疾患の資格取得を目指す理由

松村 拓弥|南4病棟(急性期一般)看護師

看護助手として大牟田天領病院で勤務しながら大牟田医師会看護専門学校に通い、准看護師・看護師免許を取得。ジョブローテーションをきっかけに循環器疾患の専門資格取得を目指し勉強中。

▼目次
看護師としての歩み
専門資格取得へのチャレンジ
学べる環境、働く魅力

看護師としての歩み

看護できない病気はない

私が看護師になろうと考えたのは高校2年生の頃です。もともと人と接する仕事に就きたいとは考えていて、介護士か保育士か美容師の3つが自分の中の選択肢でした。看護師は全然考えていなかったのですが、学校で「生命(いのち)」についての特別講演があり、そこで

「医療技術の進歩で助けられる命が増えたが、助けられない命は必ずある。それでも看護できない病気は一つもない

という話を聞ききました。それまでも病気で入院したり、家で祖母の看護を経験したりと生命について考える場面は何度かありましたが、この言葉がきっかけで、看護師を目指したいと考えるようになりました。

― 大牟田天領病院を選んだ理由

大牟田天領病院には、看護助手として入職しました。働きながら学校に通い、2年後に准看護師免許を取得。その後、准看護師として3年間働いて看護師免許を取得しました。

最初は仕事を覚えるのに必死で、職場の環境になかなか慣れることができませんでした。心が折れかけた時期があって、一度看護師の道を諦めようと考えたことがありました。当時の看護部長に相談すると「1週間病棟での勤務をお休みして良いから、看護部長室に来なさい」と親身に相談に乗っていただきました。色々とお話を聞いていただき、部署異動をして環境を変えることでもう一度頑張ることができました。

自分のわがままを聞いてくれたという気持ち、そのご恩を感じていたので看護師になってからも大牟田天領病院での勤務を希望しました。

専門資格取得へのチャレンジ

― 厳しく指導してくれる先輩

看護師になってすぐの頃、先輩看護師に叱られた経験が今でも印象に残っています。

初めての3人夜勤、つまり夜勤勤務独り立ちの日に患者さんが急変されました。私が第一発見者で、すでに意識がない状態でした。本当はそこで心臓マッサージをしてから応援を呼ぶのが正しい対応だったのですが、その時の私はその場から離れてまず応援を呼びにいく対応をしてしまいました。それまでも急変対応の経験はあったのですが、第一発見者が初めてだったこともあり、正しい判断をすることができませんでした。

その対応について当直の先輩看護師からは「なんでその場から離れたんだ!」とすごく怒られました。当時はすごくショックを受けたのですが「お前がそれじゃいかんやろ!」と言われたのを覚えています。

新人看護師ではありましたが、准看護師時代から私のことを知ってくれていたので、「期待を込めて叱ってくれているんだよ」と周りのスタッフもフォローしてくれました。その失敗から、早く周りの期待に応えられる一人前の看護師にならなければと成長を誓いました。

― 心臓リハビリ指導士・心不全療養指導士への挑戦

私は今、心臓リハビリテーション指導士(※1)の資格取得を目指していて、その次には心不全療養指導士(※2)の資格を取りたいなと考えています。現在、循環器の病棟で勤務をしており、より心疾患について深く携われるようになりたいと考えています。

きっかけは、急性期病棟から回復期リハビリテーション病棟にジョブローテーションを経験したことです。それまでの急性期とは異なる看護のあり方、患者さんの退院後の生活、入院中のリハビリテーションについて学ぶことができました。

リハビリスタッフと一緒に仕事をする中で、心臓リハビリ指導士という資格があり、看護師も取得できると教えてもらいました。日本人の死因で「心疾患」は第2位であり、自身の経験やこれからを考えたときに勉強をしてみたい。また、心臓疾患には心筋梗塞や狭心症など色々種類はありますが、祖母も心不全だったこともあって、心不全療養指導士の資格も一緒に勉強しようと考えました。

それまでは特定の分野を学びたいといった思いはなかったのですが、ジョブローテーションを経験したことで、循環器疾患について深く知りたいと考えるようになりました。

「これが分からなかったせいで患者さんの急変に気付けなかった」そういった経験は自分でも悔しいし、ご家族もとても悔しいと思います。私は循環器疾患・心不全に興味を持てたので、これをまずは突き詰めていきたいなと思います。

学べる環境、働く魅力

視野を拡げたジョブローテーション

急性期から回復期への異動を打診されたときは、正直「なんで私が…」と考えていました。今振り返ると私のキャリアにすごく影響を与てくれた経験になりました。

急性期ではどうしても疾患だけを見てしまい、早くさまざまな疾患を経験しなければと考えていました。ところが回復期に異動してみると、患者さんの多くは疾患としては落ち着いており、疾患よりもADLを見ることになります。そこに目を向けると、「回復期に来てからリハビリを開始するのではなく、急性期のうちからリハビリを進めることができれば」と思うことが多くありました。

急性期から回復期へ転棟して来られる患者さんがいた際に、「申し送りを受ける側」に立つと「急性期の方でもっとこういうことができれば良いのに…」と気付くことがありました。

「歩けるのに、なぜトイレまで移動させないのか?」
「歩行器が使えるのなら、トイレまで頑張って移動をしてもらった方が良いのではないか?」

私も急性期にいたので業務が多く忙しいのもすごく分かる。でも「日中だけだったら可能ではないか?」とできる方法を考えられるようになりました。

退院後の生活に目を向けることの重要性に気付き、看護師としての視野が広がったと思います。

― 誰にでも相談できる、学べる環境

職場の雰囲気は、誰にでも相談しやすく働きやすい環境だと思います。自分の考えや意見を周囲に相談しやすいので、仕事に対しても熱心になれます。そこが大牟田天領病院の良さだと思います。

私のいる急性期病棟では、残業はありますが、電子カルテに変わってからは少なくなったと思います。平均残業時間は、看護部全体では9時間、急性期病棟では13時間程度です(2023年11月調べ)。
病棟には、お子さんが小さいママさん看護師もいらっしゃるので、そういったスタッフには5時に帰ってもらって、他のメンバーでフォローをしています。

院内での研修や勉強会も定期的にやっていて、学べる環境だと感じます。私の病棟の主任も集中ケア認定看護師で、各部署にしっかりとした専門知識を持った方がいらっしゃいます。

~南4病棟師長からひとこと~

松村さんと初めて仕事をしたのはまだ看護師免許を取得したばかりのころでした。当院で看護助手として勤めていたため病棟に慣れるのはとても早かった印象です。循環器病棟でしたので新人のころはとても大変だったと思いますが、スターバックスで勉強している姿を見かけたということをよく耳にし、コツコツと努力しているのだなと感心していました。お互い勤務異動などを経て、また一緒に仕事をすることになり彼の成長に驚きました。物怖じせず医師へ報告、指示受けをし、モニターリコールをしながら後輩に心電図波形について教えている姿を見て、今までの努力が実を結んだのだなと思いました。今では南4病棟を支える柱となっています。

※1:日本心臓リハビリテーション学会が認定する資格。包括的心臓リハビリを通じて循環器疾患の治療ならびに再発予防とQOL向上に貢献できる技術と考え方を有します。運動療法だけでなく、食事療法や禁煙指導を含めた包括的リハビリを進める医療専門職チームの中心となることが期待されているのが、心臓リハビリテーション指導士です。
※2:日本循環器学会が認定する資格。病院に限らず在宅をはじめとした地域など様々な場面で幅広く活動し、心不全におけるチーム医療を展開していくことで、心不全による増悪・再入院予防、そして生活の質(QOL)の改善を図ることを目指して、多くの専門職が取得できる資格となっています。

(写真・インタビュー・文:MottoBrand 福井勝雄)


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