病院で介護の仕事を始める魅力。介護福祉士がステップアップできる環境
九州大谷短期大学(筑後市)を卒業後、介護福祉士として当院に新卒で入職。デイケアセンターの立ち上げ、回復期リハビリテーション病棟・地域包括ケア病棟の立ち上げなどを経験し、現在は回復期リハビリテーション病棟で主任を務める。
▼目次
・これまでのキャリア・経験
・病院での介護のお仕事
・介護未経験者が病院で働く魅力
・大牟田天領病院で働く魅力
病院における介護福祉士の存在価値
大牟田天領病院に入職してからはじめの1年半は病棟に勤務し、その後デイケアセンターの立ち上げに伴い異動をしました。約9年間デイケアで働いた後、再び病棟に戻ったのですが、仲間の介護福祉士たちが『病院内での介護士としての役割』に悩んでいました。
一般的に病棟における介護士の仕事は、『看護助手』とも呼ばれ、患者さんの身の回りのお世話をしたり、看護師のサポートをする仕事です。その中において、介護福祉士の専門性を活かして私たちに何ができるか?介護福祉士としての役割・目標が院内にしっかりと浸透していませんでした。
『入浴介助/排泄介助/食事介助』と生活援助の行為を切り分けて捉えるのではなく、そうした援助を通して患者さんとコミュニケーションを図り、信頼関係を築き、「~したい・~なりたい」という前向きな気持ちを引き出していく。そして、それらを実現するために院内外の多職種と連携し、様々な手立てを考え実行していくことこそが介護福祉士の専門性です。
ただ身の回りのお世話をするだけではなく、『退院・社会復帰』というゴールに向けてしっかりと目標・計画を立てて、知識・根拠を持ってケアにあたる。介護福祉士の本来持っている専門性を活かした関わり方を実践し、私たち介護福祉士の存在価値を院内外に発信していきました。
介護の仕事は、頭を使う仕事
現在の大牟田天領病院では、介護福祉士は地域包括ケア病棟と回復期リハビリテーション病棟に配属されています。これらの病棟の役割は、退院に向けた自立支援です。特別養護老人ホーム等の介護施設とは違い、笑顔になって患者さんがご自宅に帰って行かれる姿を見られる、状態が良くなる過程に一緒に関わることができます。
介護の仕事は肉体労働だと思われがちですが、かなり頭を使う仕事だと私は考えています。患者さんをよく観察し、『嬉しい』『ちょっとつらい』といった感情に寄り添う。心身の状態に合わせながら、その都度介護計画・目標を立てていきます。
『オムツ交換をする、入浴介助をする』そういった『きつい・汚い』といった介護のイメージではなく、患者さんとしっかりコミュニケーションを取り、退院した後のご自宅の状況等を考えながら「退院に向けて何が必要か?」を考え、リハビリの様子を見ながら介助量をコントロールしたり。退院後の生活に重きを置いて、根拠を持って自立を支援することが介護福祉士の役割であり、病院における介護の仕事です。
介護に興味がある方が、病院で働く魅力
病院は分業制が成り立っている職場で、職種間で守られている部分があると感じます。
介護施設とかだと、掃除から洗濯や料理まで幅広い業務量を介護士がこなさなければいけないところが多いと思います。一方、病院では職種ごとに専門性に基づいた分業がされているので、介護士として専念できる環境があります。介護のお仕事が未経験の方にとっても、業務に慣れて自信を付けていくのにはとても良い環境だと思います。
入院患者さんが点滴や心電図など色んな医療機器とつながっているのを見ると”怖い”という印象を抱くかもしれませんが、24時間医師・看護師といった医療専門職がおり、介護士が1人で仕事をする状況は少ないので、安心して仕事を始められる環境です。
医療チームの一員として働ける
どうしても患者さんが1人ではできないことは、誰かが代わりをしなければいけません。入院中は私たち介護士・看護助手ができますが、退院後はご家族様が代わりをすることが多くなります。
退院するにあたっての大きな壁は「排泄介助」だと私は考えています。移動が難しい方であれば、車椅子などの福祉用具を活用すれば大丈夫であったり。介護サービスで日中はデイサービスを利用したり、週末はショートステイにお泊りしたりもできますが、排泄介助は常に誰かに代わりをお願いできる訳ではなく、ご家族様がどうにかしなければいけない場面が出てきます。
ある患者さんの退院支援が印象に残っています。その患者さんはパーキンソン病とレビー小体型認知症を患っておられ、要介護度は4でした。入院前もご自宅で奥様が身の回りのお世話をされていて、退院してご自宅に帰らせてあげたいという思いを強くお持ちでした。しかし、大きな褥瘡ができており、「今のままでは退院後の介護は難しい」「退院してもすぐに再入院になるのでは」という状況でした。それでも、ご家族様のお気持ちを大切にしようと医師・看護師・リハビリスタッフ・ソーシャルワーカー・ケアマネジャー・栄養士たちが一致団結して「何ができれば自宅に帰ることができるか?」をみんなで話し合いました。
「まずは寝返りを1人でできる、もしくは片手で支えればできるようにリハビリをしよう」
「排泄についてはオムツにはなるけれど、腰上げさえできればズボンの上げ下ろしがベッド上でできるので、そこまでリハビリを頑張ろう」
と一つずつクリアしていきました。
最後にオムツの当て方をどうしようかとなった時に、腰上げができるからパンツタイプを試してみたところ、どうしても足元が痩せてくるため隙間ができて漏れてしまう。そこで色々とアイデアを出し合って、ボクサーパンツにパッドをあてて試してみることにしました。すると、これが上手く使えた。それからは奥さんに毎日お昼に来てもらって、食事介助からオムツ交換までを一緒に介助指導して、実際にご自宅に返すことができました。私たちは褥瘡も大きかったため、1~2ヶ月くらい家にいられたら良いかなと思っていたのですが、半年近くご自宅で過ごすことができました。
多職種が一つの目標に向かってアイデアを出し合って、ハードルが高い患者さんの退院をご支援することができた、私にとっても大変貴重な経験でした。
大牟田天領病院は、学べる環境
スペシャリストの方々と一緒に働くことができ、たくさんの学び・気づきを得られることが当院の魅力の一つです。看護師の中にも認定看護師・特定看護師といった専門領域を突き詰めて勉強されているプロフェッショナルがおり、リハビリにも様々な認定資格を持った方がいらっしゃいます。そういった多職種のプロフェッショナルと日々仕事で関われることで、目から鱗が落ちるようなお話を聞けるチャンスがたくさんあります。
看護助手から介護福祉士へステップアップも可能
当院では現在15名の介護福祉士が回復期リハビリテーション病棟・地域包括ケア病棟に所属しています(デイケアを除く)。その中には、看護助手として働きながら介護福祉士の資格を取得された方も何名かいます。テキストを買って筆記試験の勉強をし、実技は先輩の介護福祉士からレクチャー・アドバイスをもらいながら学ばれて、試験に合格されました。今後も、病院としてステップアップを目指したい方の勉強も実技も含めてバックアップできると考えています。
今年はミャンマーから3名の介護技能実習生が来てくれました。無資格や未経験で入職される看護助手の方にも、介護福祉士が新人研修とその後のフォローアップ研修を行い、サポートしていきます。
アクティビティを通して、自発的な離床を
今後の目標として、入院生活の中で楽しく取り組めるレクリエーションや趣味を生かしたアクティビティを通して、患者さんの自発的な離床を促していきたいと考えています。
「寝てばっかりいたら駄目だから起きましょう」「リハビリの時間だから起きましょう」ではなくて、患者さんに「何かやってみよう」と思ってもらえる仕掛けをしていきたい。例えば、絵を書いたり習字が得意な方には作品を展示できる場所を提供したり。風船バレーといった動きがリハビリに繋がる『遊びリテーション』ができる場所を新病棟では作っていきたいと考えています。
10月にできる新棟では、大型リハビリテーション室や四季の移ろいを感じられるリハビリ庭園が新しく作られ、患者さんの療養環境がリニューアルされます。職員にとっても、働きがいが感じられる環境になると期待しています。
介護の仕事に興味があるければ、経験や資格がない方も、病院での介護の仕事のイメージが湧かない方も、ぜひこの機会にお気軽にお問い合わせください!
(写真・インタビュー・文:MottoBrand 福井勝雄)
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